anehako’s diary

ノート代わりの下手な駄文を書き連ねています。書き替えも頻りで、

市民運動家

側から見ると、ご両人は昔からの戦友のように仲が良く、本音の言い合いをしながらも、活動家としてのお互いを深く認め合っていると、私のような外の者でもそう拝見しておりました。それにしてもお二人ともご無事でよかった。裏で何者かの意思的な暴力が働い…

酔言 13

酔言 13 実務の目から脱炭素に関連して省エネの講義をしてくれと、某職業訓練校から話が来た。今までとはまったく違う訓練校だ。私ごときが「省エネ」を教えるとは手にあまるのだが、引き受けた。ますます野暮用に時間を取られる。あらためて勉強しなければ…

酔言  12

酔言 12 死者の世界とは何ゆえにここまで鎮まりかえっているのか、といぶかりながら、肩寄せ合い所狭しと立ち並ぶ、さながらコインロッカーのような納骨堂の中を、私は伏せ目がちに巫女のように歩いていた。開き戸のロッカーには数字ではなくそれぞれの家名…

軌道工  28

軌道工 28 以前から知っていたのですが、魔は不意に人を食らうのです。喰らわれた人は目つきも変わり、徐々に肉体の中にその毒がまわると、世界の風景も、身につけた大切さの秩序も地滑りを起こして一変します。しかもその毒の痺れで、運良く蒙昧のまどろみ…

軌道工 27

軌道工 27 桜という樹の、その春爛漫の花びらが一斉に風に靡いて、揺れる木末につむじを巻くころになると、降り積もる落花の淡いは際限もなく、足もとの大地がまた薄紅色の明るさで華やいできます。幾春も、あてもなく歩く先々で、散り急ぐ桜の花びらを見て…

酔言 11

雨にやつれて散る桜の樹を寒々と眺めながら、今日も仕事の帰りに一杯やっている。今年の花の散り脚は早かった。と言っても慎ましやかに安酒屋でビールをやるだけだ。つまみは今日の日替りサービス一品。それは日によって違う。それでコートについた冷たい飛…

内耳の戯れ

内耳の戯れ このところのメニエールの不安はなんだか懐かしいものだった。しかし、得体の知れない塊がまた身体をむずむずと突き抜けて行くようで、しばらくの間、手なづけていたつもりだったのが、残念ながらそうでもなかったらしい。そうは言っても私の精神…

松沢日記 36

松沢日記 36 予想もしないことが起きたときに、そこに関わった人間の質がどうしたって現れてしまうものだ。もしかしたらその時、過ぎにし月日の一筋のかなしみにも似た、私自身の醜態を曝け出してはいなかっただろうか? 傍らにいた他人のように、心配に慌て…

2/19 炊き出し

新宿区西戸山公園、3回目の炊き出しでした。ボランティア約30人の方が参加

松沢日記 35

松沢日記 35 その環水タンクが突然、満水警報を頻発するようになった。タンクは当然内容積が決まっているからドレンが入る量は変えようがない。大概は満水になっても、上部のオーバーフロー管で外部に流れ出て行くから早々心配はないが、それでも監視室の警…

松沢日記 34

松沢日記 34 環水タンク、別名ホットウェルタンクは、送り出した蒸気が各所で熱交換をして、その仕事を終えたあとの凝縮水が配管を通して戻ってくる容器である。気体である蒸気のもつエネルギーは熱交換器、あるいは動力機に放出され、その結果、自らは状態…

松沢日記 33

松沢日記 33 湿度の指標にも絶対湿度と相対湿度がある。私たちが普段使うのは相対湿度だから、その時の室温によってもずいぶんと数値が違ってくる。同じ条件の室内で温度が高くなれば、湿度計の目盛りは下がってくる。だから、湿度を簡単に上げたければ、一…

炊き出しのお知らせ

松沢日記 32

松沢日記 32 蒸気ヘッダーのバルブから朦々と蒸気が上がっていた。回転するシャフトの回りにはグランドパッキンがきつく詰められていて、その詰め物が劣化すると内部の蒸気をシールできなくなるのである。取り替え時期はとっくに過ぎて、そこから4、5年は…

立憲民主党、泉氏

立憲民主党、泉氏の発言を再び思う。 天皇弥栄(すめらぎいやさか)とは、皇統が途切れることなく、天皇の世がますます栄えるように、との意味があるわけで、それは、戦後、日本国憲法下、そして保守派がよく言葉にする国柄が、私の感覚とはまったく違うわけで…

酔言 10

酔言 10 今日も職場では色々なことがあった。しかし、それは生きていくためにはしょうがないことで、取り立てて話すほどのことでもない。まして大小色々の、その中身は日替わりであって、人それぞれ、誰にとっても日常のことであろう。人はよく言う、私は今…

炊き出し

炊き出し 墨田区錦糸公園、大久保西戸山公園にて炊き出しを敢行する。ボランティアの人数は3、40人といったところか。事前の宣伝時間が少なく、周知の時間がそれほどなかった為か、食べに来た人は期待するほど多くはなかったが、それでも、気がつくと月は高…

餅つき大会

杉並区阿佐ヶ谷にある、東京朝鮮第九初級学校の校庭で行われた餅つき大会に妻と参加する。並行して同じ校庭で、明日、明後日の錦糸町公園、西戸山公園の開催予定の年越し炊き出しの準備、豚汁と牛丼の具を調理した(公園で火は使えないのだという)。炊き出し…

ガードマン (28)

いや、そんな彼らの個々の経験や経歴などは、どうでもいいことであろう。世の中には腐るほどの人生がある。ただ真実なことは、たとえそれぞれ各人にどんなに豊富な過去の経験があろうとも、私も含めてこうして臨時の警備員に成り果てているのは、それ以上で…

ガードマン (27)

ガードマン (27) 例えば、地方有力議員の元選挙参謀でありながら、生業のダンスホール経営の失敗後、秋田から上京して様々な職を経たが、結局、失敗続きで警備員に流れ着いた任侠気質のO氏。 あるいは、バルブの頃、絶頂期の西武百貨店の専属広告デザイナー…

ガードマン (26)

そうして同僚たちとはこんな風に、嫌でもこの狭い空間で何年かを過ごせば、大概のことは語り尽くすことになってしまう。思い返せば、私はこの職場で、何人もの話し相手に奇跡のように恵まれた。しかもその多くは私よりも長く生きた者達であった。ということ…

ガードマン (25)

ガードマン (25) ジャグジー風呂に浸かってほてった身体に、長水路の冷ややかな流水が心地よかった。それでも生温い水の塊がときどき私を包み込み、反転するかと思うと、皮膚を優しく撫でるようにまた流れ去っていった。まるで誰かの温かい手で身体を掴まれ…

ガードマン (24)

ガードマン (24) 私はジャグジー風呂でほんのりと温まった後、湯船から上がると今夜の同僚とは別れることにした。まだ選手たちの昼間の足の臭いが残るウレタンマットに足を滑らさないよう、誰もいなくなったメインプールに一人向かった。50メートルの水路が…

ガードマン (23)

ガードマン (23) 宿直は勤務のローテーションによって、相方の顔ぶれが順次変っていく。ひと月ほどでそれは一巡して、また最初に組んだ同僚と一緒の勤務になる。気が合う同士なら、ほとんどの宿直の夜を盃片手にちょびちょびとやりながら、その仮眠の前のひ…

ガードマン (22)

退職とは、人さまから忘れさられて引き潮のように居なくなるのが当たり前のことと思っていた。長く勤めればよくあるように、あちらこちらの対話中に感極まり、涙目の挨拶回りなど私には笑止千万なことであった。他人の人生の前を偶然に通り過ぎていく我々に…

ガードマン (21)

明日からはちょっと別の警備現場に応援にでも出かけるような、そんな妙に落ち着いた自分がいた。ただし、それはもうここには二度と戻ることのない応援であったのだろうが・・。このすみやかに取り戻せた平静さ、環境の変化に対する無関心さはとてもいいこと…

年末年始、ボランティア募集中

ガードマン (20)

それに自らが積極的に何かをして責任が生じることと、何もしなかったことが原因でその責任を受けるのでは、後者の方がうんと割りに合わないだろう。不作為から生じた責任は厳格であるべきなのだ。だから生真面目な警備員にはやはりこの仕事は割に合わない。…

ガードマン (19)

実は、一見何の変化もなさそうな伸びきった日常性の中の、小さな兆候に気がつき、敢えて異なるもの、不審なものをそこに嗅ぎつけ、更に自覚的に予防の手を加えていくことは難しいのである。なぜなら、そうした異常性を生じる原因はどこにでも転がっており、…

ガードマン (18)

結局、私はいつの間にかずるずると、六、七年を警備員として過ごすことになった。自分から何かを動かしたり、生み出したりするのではなく、もっともそんなことはまっびらごめんであったのだが、何も起こさせないことに、たとえば盗難や火事や不測の事故が起…