anehako’s diary

ノート代わりの下手な駄文を書き連ねています。書き替えも頻りで、

酔言 34

酔言 34 誰もが等しくとは、すべからく年齢差という垣根にも当てはめるべきであって、この儒教世界に生まれ育った者にとっては、至るところその無意識の悪癖にむしばまれている、と思われる。職場やグループ内の、あるいは知人の歳下の経験のない者に対して…

酔言 33

酔言 33 一つの疑問がどうしても湧いてくるのです。個人の内的感覚に結びついていない思想なるもの、己れの感覚の担保のない思想は、たんなる精神の空転なる運動にしかすぎないのではないか、概念の組み合わせや論理的な整合性を追うだけでは必ず他者に乗り…

亡き人

酔言 32 これは以前、今はもう新聞なんぞ読まないが、購読していた朝日の投稿欄で直に読んだことがあった。読んだあとに不覚にも涙して、しばらくの間、この方の悲しい想いとその切なさが、知り合いでもない遠く隔てる私の心をもやのようにとらえては離れず…

サボテンの花  改

サボテンの花 (改) 薄紅を点したサボテンの花が、昨年に続き新宅のベランダに咲いた。しかも誰も見ていない夏の真夜中に、ほのかに月明かりが漂う小さなベランダで、その秘めやかな花弁をそっと押し開いていたのである。私は驚いた。というのは薄紅の花が何…

酔言 31

酔言 31 日々、千床近くある都立病院の設備管理の副所長として、あるいは職業訓練校の講師として、仕事においては激しく世間と触れ合うことになっているが、それは私の本意ではない。いやいや、私にたまたまこの時点で与えられていることに、私なりに真摯に…

こんこんチキ

巷ではたった一度の人生と言うけれど、長く楽しく無理をせず、家族団欒微笑ましく、ときには友と祝い酒、膝の上には孫を乗せ、夫婦で港街の演歌を歌う、あぁー♪ そんなことは、わたしゃ縁もゆかりもないようで、ぺんぺん草のふて寝酒、浮気心と飽き性に、身…

酔言 30

酔言 30 多賀神社なるものが、実は日本全国至るところにあることを、ここ八王子に越して来る前はなにも知らなかった。というのは家から歩いてわずか数分そこそこのところに八王子多賀神社⛩️があり、樹々に囲まれた社(やしろ)の屋根がいつも暮色に閉ざされて…

酔言 29

酔言 29 父が死んだ直後のことです。遺体はまだ実家の床にありました。枕元の文机に置いた遺影が線香の煙にくすぶるとき、その魂のようなものが小さな子供の姿になって、きゃっきゃとはしゃぎながら、ほんのりとした薄明るさの中で、もちろんそれは私の心の…

酔言 28

酔言 28 人間関係とはたしかに難しい。しかし、他人と比べて私自身はそれほど人間関係に悩んだことがないと断言できる。おそらくそれは私が他人を羨んだり、攻撃することに縁のない人間であったせいなのか、他人に何かを求めることに非常にナイーブなのか、…

ガードマン

ガードマン (13) 職場の連中を眺めたって、警備員をやりたくてこの世界に入ってきた奴は一人もいないにきまっている。興味津々、我が身のときめくものに誘われて、あるいは他人にそそのかされてここに流れてきたわけでもなく、皆、なんとなくその場しのぎに…

酔言 27

酔言 27 昨年暮れに亡くなった義母の墓は大阪にあり、久しぶりにこちらにやって来た。というのは、同居する前の義母は長く大阪で働いていたのだ。その当時、妻と毎年、義母の一人住まいに訪ねた記憶がある。まさかその後、紆余曲折を経て四半世紀もの間、東…

松沢日記 41

松沢日記 41 人さまのことではなく、配管の類いも「縁切り」という言葉を我々はよく使う。例えば使用不能になった配管は、撤去する工事の煩わしさを省くために、生きている部分はそのままに、鉄板などの閉止板を挟んでその先の要らない箇所を切り離してしま…

酔言 26

酔言 26 まさに多摩のすそのは透きとおるような秋。このところの朝夕の冷え込みがきつい。さすがに昼と夜の寒暖差が都内とは違うように感じられる。ここ数日で高尾山近くにあるいちょうの並木が少しずつ黄ばみ始めた。それでも「いちょう祭り」の燃えるよう…

松沢日記 40

今年の夏の間、病院別棟の熱源機器が集中しているエネルギーセンター、その一番奥にある人気のないボイラー室は換気がしっかり効いているはずであったが、それでも室温はいつも45℃を軽く越えていただろうか。なにしろ蒸気をつくる貫流ボイラーには冷房は必要…

松沢日記 39

松沢日記 39 薬剤科の純水装置のメンテナンスに来院した三菱ケミカルの技術員と立ち話をしていて、さらに「超」の頭文字のついた超純水というものがあると聞き、そんな水はいったいどんな所で使用しているのか尋ねてみると、半導体デバイス、液晶ディスプレ…

酔言  25

酔言 25 突然、胸が詰まり目が潤んだ。こんなはずではなかった。明日、長年住んだ部屋を住宅公団に明け渡すということで、一月前から少しずつ引越しの準備をしてきたが、引越し先から荷物の何も無くなった住み慣れたこの住宅に戻り、最後の明け渡しの清掃を…

酔言 24

酔言 24 昨年、アイルランドで行われた体操競技、大会表彰式での出来事という。少女たちが順次メダルを首に掛けられる中、画面に映る黒人の女の子だけがスキップされた。こんなあからさまな絵に描いたような差別は、おそらく個人的な行為というよりは、この…

松沢日記  38

松沢日記 38 ボイラーの「性能検査」では、あちこちの職場で何度も立会いをしているので慌てることはないが、それでも柄にもなく緊張はするし、時にその検査官から意地悪な質問もされるので嫌なもんだ。個人的な興味からマニアックな質問をされてもこちらは…

酔言 23

酔言 23 明日午後の予定、府中職業訓練校で四時間の特別講義(省エネ、脱炭素)のレジュメがやっとできた。都訓練校で唯一のセキュリティ科があるというから、そこの生徒たちの卒業後の志望はいつも教えている生徒たちとは少し違う。クラスには消防設備や警備…

酔言 22

酔言 22 泥にまみれたこの世にも、まだひぬ真木の葉の露に月影が灯るように、隠しても、隠しきれない一念の人がいるものだ。その一念は、意識的でも無意識でもよく、その人の姿かたちにもかかわらない。あのように世間にまぎれて、この文をさりげなく書いて…

松沢日記  37

松沢日記 37 都立職業訓練校、飯田橋にある高年齢者校のビル管理科に在籍する生徒たちが十数名、実際の実務を肌で感じ、私の勤める松沢病院の関連設備を見学したいというので、微力ながらも骨を折ることにした。最初、どちらも都立の施設だからと病院見学を…

酔言 21

酔言 21 とうとう実際に、汚染水?を海洋に流すとなると、こうしたことに関心の薄かった私の中でさえも、問題は深刻になる。この現状に何かをしなければと。しかし、政府の言い草を反駁するだけの知見と時間が私にはない。多くの国民もそうだろう。直感的に…

酔言 20

酔言 20 憲法16条に認められているいわゆる「請願権」を私たちはどれだけ認識しているだろうか? 検察・警察に犯罪の捜査を訴えることができる「告発」や、公権力の行使の適法性などを争い、その取消し・変更などを求める行政訴訟とともに、国や地方公共団体…

酔言  19

酔言 19 薄紅を点したサボテンの花が昨年に続き咲いた。しかも誰も見ていない真夏の夜中に、そのベランダの月明かりの下で、そっと花をほころばしていたのである。前の家で引越しの荷造りの時、段ボールに入れたままに、トラックの振動にさらされて、着いて…

夏祭り

酔言 18 よく見ると、お囃子方が皆、若いではないか、あれ、白狐もいる、これが世にいう「天狐」の舞いだろう。屋根には男衆が気勢を上げて山車を盛り上げている。この辺り、昔は「桑都」とも呼ばれた。こうして南多摩の伝統文化がしっかりと引き継がれてい…

酔言 17

酔言 17 4階のベランダの窓越しに高尾山の山影が見える。眼下にはその高尾山から流れ下ってきた渓流のちゃちで小ぶりな川瀬が見え隠れしている。渓流というよりはもう立派な川かもしれない。いや、地図で調べると一級河川でもあった。その南浅川は夏風にそよ…

酔言 16

酔言 16 毎日の忙しさに手も足も出ず、私にとってはウクライナの戦禍さえも、まるで遠い出来事のように思えてしまう。ミャンマーの罪禍もまた同じだ。これが良いのか悪いのか、まさに私自身が世界の出来事から離れ、病院機械を相手に、あるいは訓練校の不安…

狂桜 改

狂桜 改 拝啓貴女のお顔を拝見できなくなり、随分と久しく、月日だけは徒らに流れて行きました。それでもその叶わぬ悲しみが、今の今まで、貴女に偶然出会えた喜びの、色褪せることには少しもなりませんでした。今年でもう幾度になりましょう、また桜の花咲…

人物譚 米軍基地編 改

人物譚 米軍基地編 (1) ひょっとしたら、あらゆる実体はそれが幻だとして、積み重ねては容易に崩される積み木細工のように儚いものではあるが、それでも人の縁とはしぶとくその後の私たち自身を規定する。しかも、思い出したくはないのに思い出し、刻まれた…

市民運動家

側から見ると、ご両人は昔からの戦友のように仲が良く、本音の言い合いをしながらも、活動家としてのお互いを深く認め合っていると、私のような外の者でもそう拝見しておりました。それにしてもお二人ともご無事でよかった。裏で何者かの意思的な暴力が働い…