anehako’s diary

ノート代わりの下手な駄文を書き連ねています。書き替えも頻りで、

松沢日記  38

松沢日記  38

ボイラーの「性能検査」では、あちこちの職場で何度も立会いをしているので慌てることはないが、それでも柄にもなく緊張はするし、時にその検査官から意地悪な質問もされるので嫌なもんだ。個人的な興味からマニアックな質問をされてもこちらは困るのだ。ボイラーをはじめ、一定の規模以上の高圧容器は国の定期点検を必ず受けることになっている。機器が劣化してはいないか、部品に亀裂や腐食がないか、規則通りの管理をしているかなど、懐中電灯を片手に細々と点検される。

 病院にある炉筒煙管2号ボイラーも昨日受検した。検査官は二人、一人はボイラー・クレーン協会の東京事務所の所長さんだった。無事合格して胸を撫で下ろしたが、ハプニングがあって復旧に時間がかかってしまった。というのは検査官が帰ったあと、分解していたボイラーを組み立てているとき、整備業者の作業員が間違えて塗装缶の金属の蓋をボイラーの釜の中に落としてしまった。

 この小さな金属片を取り出すのに三時間も費やしたのだ。蹴ってしまった蓋は勢いついて作業中の上部のハッチの穴から落下した。内部にはバーナの炎が直進する炉筒があり、その外側はいつも水が満たされている。点検清掃で水を抜かれたその空間を通って蓋は缶底まで落ちて行った。そこは狭くて人が入れない所なのだ。もしそのまま放っておけば、ボイラーを稼働したときに、激しく沸騰している熱水に乗って釜の中を対流することになるだろう。そうなると炉筒外壁や煙管、そして水の入っている本体の内壁を傷めるかもしれない。

 圧力に耐えるための小さな点検口はボイラーの側面に何箇所かあるにはあるが覗き窓程度の大きさである。アームに取り付けた鏡を差し入れて発見した。結局は後部缶底にあるブロー排水管を外して穴をつくりそこから取り出した。いやはやである。実は、内部清掃をするとき、釜の底に物を落とすことはないわけではない。作業着以外は何も身につけないで入っても、メガネや靴がうっかり脱げて落とすことがある。だから、メガネは紐を首につけて落下しないようにしている。f:id:anehako:20230922121848j:imagef:id:anehako:20230922121852j:imagef:id:anehako:20230922121855j:imagef:id:anehako:20230922121857j:image