anehako’s diary

ノート代わりの下手な駄文を書き連ねています。書き替えも頻りで、

2024-01-01から1年間の記事一覧

紫陽花

紫陽花 山手線のターミナル駅の一つで降りた。地下通路を上がり北口を出ると狭い路地に飲屋が続いている。それが途切れるあたりの場末の淫靡なネオン街に向かって私達は歩いていた。肩を組んであっけらかんとした若い恋人同士や、見るからに歳の差のある訳あ…

酔言 34

酔言 34 誰もが等しくとは、すべからく年齢差という垣根にも当てはめるべきであって、この儒教世界に生まれ育った者にとっては、至るところその無意識の悪癖にむしばまれている、と思われる。職場やグループ内の、あるいは知人の歳下の経験のない者に対して…

酔言 33

酔言 33 一つの疑問がどうしても湧いてくるのです。個人の内的感覚に結びついていない思想なるもの、己れの感覚の担保のない思想は、たんなる精神の空転なる運動にしかすぎないのではないか、概念の組み合わせや論理的な整合性を追うだけでは必ず他者に乗り…

亡き人

酔言 32 これは以前、今はもう新聞なんぞ読まないが、購読していた朝日の投稿欄で直に読んだことがあった。読んだあとに不覚にも涙して、しばらくの間、この方の悲しい想いとその切なさが、知り合いでもない遠く隔てる私の心をもやのようにとらえては離れず…

サボテンの花  改

サボテンの花 (改) 薄紅を点したサボテンの花が、昨年に続き新宅のベランダに咲いた。しかも誰も見ていない夏の真夜中に、ほのかに月明かりが漂う小さなベランダで、その秘めやかな花弁をそっと押し開いていたのである。私は驚いた。というのは薄紅の花が何…

酔言 31

酔言 31 日々、千床近くある都立病院の設備管理の副所長として、あるいは職業訓練校の講師として、仕事においては激しく世間と触れ合うことになっているが、それは私の本意ではない。いやいや、私にたまたまこの時点で与えられていることに、私なりに真摯に…

こんこんチキ

巷ではたった一度の人生と言うけれど、長く楽しく無理をせず、家族団欒微笑ましく、ときには友と祝い酒、膝の上には孫を乗せ、夫婦で港街の演歌を歌う、あぁー♪ そんなことは、わたしゃ縁もゆかりもないようで、ぺんぺん草のふて寝酒、浮気心と飽き性に、身…

酔言 30

酔言 30 多賀神社なるものが、実は日本全国至るところにあることを、ここ八王子に越して来る前はなにも知らなかった。というのは家から歩いてわずか数分そこそこのところに八王子多賀神社⛩️があり、樹々に囲まれた社(やしろ)の屋根がいつも暮色に閉ざされて…