anehako’s diary

ノート代わりの下手な駄文を書き連ねています。書き替えも頻りで、

2023-04-01から1ヶ月間の記事一覧

酔言 13

酔言 13 実務の目から脱炭素に関連して省エネの講義をしてくれと、某職業訓練校から話が来た。今までとはまったく違う訓練校だ。私ごときが「省エネ」を教えるとは手にあまるのだが、引き受けた。ますます野暮用に時間を取られる。あらためて勉強しなければ…

酔言  12

酔言 12 死者の世界とは何ゆえにここまで鎮まりかえっているのか、といぶかりながら、肩寄せ合い所狭しと立ち並ぶ、さながらコインロッカーのような納骨堂の中を、私は伏せ目がちに巫女のように歩いていた。開き戸のロッカーには数字ではなくそれぞれの家名…

軌道工  28

軌道工 28 以前から知っていたのですが、魔は不意に人を食らうのです。喰らわれた人は目つきも変わり、徐々に肉体の中にその毒がまわると、世界の風景も、身につけた大切さの秩序も地滑りを起こして一変します。しかもその毒の痺れで、運良く蒙昧のまどろみ…

軌道工 27

軌道工 27 桜という樹の、その春爛漫の花びらが一斉に風に靡いて、揺れる木末につむじを巻くころになると、降り積もる落花の淡いは際限もなく、足もとの大地がまた薄紅色の明るさで華やいできます。幾春も、あてもなく歩く先々で、散り急ぐ桜の花びらを見て…