anehako’s diary

ノート代わりの下手な駄文を書き連ねています。書き替えも頻りで、

亡き人

酔言 32

これは以前、今はもう新聞なんぞ読まないが、購読していた朝日の投稿欄で直に読んだことがあった。読んだあとに不覚にも涙して、しばらくの間、この方の悲しい想いとその切なさが、知り合いでもない遠く隔てる私の心をもやのようにとらえては離れず、どうにも困ったことがあった。この奥さんを亡くされた投稿者の気持ちが、実際には体験のない私のような者の心をも、つよく打ったのである。残された彼女のノートはまるで一編の詩、絶唱のようだった。そこにあるのは言葉のもつ力でもあるのだろうが、あらためて読むと、その時の感動がふたたび蘇ってきた。

 考えてみれば私も妻と付き合って45年になる。早いものだなと、詮なきことをつぶやきながら、あと何年一緒にいられるだろうかとあらためて思った。そして、愛想をつかされて捨てられなかったことだけは、たいがいのことの続けるだけの甲斐性もなく、なんの自慢も業績もない私の人生の中での、良しとしようか。

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