anehako’s diary

ノート代わりの下手な駄文を書き連ねています。書き替えも頻りで、

ガードマン (19)

 実は、一見何の変化もなさそうな伸びきった日常性の中の、小さな兆候に気がつき、敢えて異なるもの、不審なものをそこに嗅ぎつけ、更に自覚的に予防の手を加えていくことは難しいのである。なぜなら、そうした異常性を生じる原因はどこにでも転がっており、また特定しにくいからだ。何ごとも散在の力はあなどりがたく、結果は無限の原因から生じる。

 たとえば単に人を怒らせることはそう難しくはないだろう。一点集中で、相手の嫌がる真実や外形的嘲笑をその鼻先に突きつければいい。しかし、癇癪持ちの相手を怒らせないのは格段に難しくなる。その怒りを発火する接点がこちら側にはよく見えないのだ。しかも地雷のように至る所へ巧妙に隠れている。そのどれかを踏めば相手は容易に怒るが、どこにも当たらないようにするには余程の注意と繊細さが必要になる。