anehako’s diary

ノート代わりの下手な駄文を書き連ねています。書き替えも頻りで、

松沢日記 33

松沢日記 33

湿度の指標にも絶対湿度と相対湿度がある。私たちが普段使うのは相対湿度だから、その時の室温によってもずいぶんと数値が違ってくる。同じ条件の室内で温度が高くなれば、湿度計の目盛りは下がってくる。だから、湿度を簡単に上げたければ、一つには室内の温度を下げればいい。しかし、今の季節、寒い冬にはなかなかそうもいくまい。

 そうした複数のパラメータを一つの平面上に表して、空調による室内の状態変化、加熱や冷却、加湿や除湿時に必要なエネルギーを求めるツールに「空気線図」がある。これを使えば、予め設定しておいた室内空調条件の範囲に、温湿度を維持することが容易になる。というか空調設備はその条件内に収まるよう、自動制御されている。具体的には、ダクトや冷温水管に取り付けられた、サーモセンサーや湿度センサーに感知された情報で、温度や露点設定、電磁弁やダンパーの開閉度、ファンの周波数を変えて、室内環境の平衡を保つのである。

 湿度が40%を下ればインフルエンザなどのウィルスが活発化し、逆に60%を越えればカビやダニが繁殖しやすくなると言われている。いわゆるビル管法では、室内湿度は40~70%の範囲に基準値が決められている。そして湿度が足りない場合は空調設備で加湿、多すぎのときは除湿することになる。

 相対湿度は乾球温度が変化すると大きく変化してしまうので安定した湿度制御ができにくい。乾球温度が±1~2℃変化すると、相対湿度は±3~6℃変化してしまうという。だから、加湿制御には、空気中に含まれるている水分量の絶対値である絶対湿度を使う。つまり露点温度による制御を採用することになる。

 加湿装置には、直接噴霧、間接噴霧、液滴下方式などがあるが、ここ松沢病院では、ヒートポンプ付きファンコイルユニットの内部、外気取り入れの外調機に滴下式が、各階の病室などに蒸気を送る噴霧式の間接加湿器などがある。しかし、冬の外気は20%台の湿度もよくあることで、湿度を10% 上昇させることは並大抵のことではないのだ。

 この病院も再築されてから10年をゆうに過ぎ、あらゆる設備も例外ではなくなった。特に水回りや蒸気を使う設備は劣化が顕著である。敵下式の加湿装置はせいぜい4、5年で交換時期が来る。上部から上水を散水滴下して湿らす加湿モジュールの部分には黒カビや腐食が起こり、給水電磁弁や減圧弁は起動しなくなったものもある。とりあえず、塩ビの配管に穴を開けて手動の散水装置を拵えて、メーカーの修理を待っている。部品納入の遅れもあり、修理は一月後になる予定だが、もしかしたらその頃には加湿時期も終わりに近づいているのかもしれない。そんな修理を待つ加湿器だけでも、現在、我々のところには6台もあるのだ。

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