anehako’s diary

ノート代わりの下手な駄文を書き連ねています。書き替えも頻りで、

ガードマン (8)

その頃の私といえば、雀の涙ほどのお給金の支給日を首を長くして待ち、毎日の勤務時間がただ早く過ぎ去って行くことだけを心から望んでいた。長い間、日雇いにはなんの保障もなかった。周囲の何処をさがしても、希望と呼べるようなものは何も見出せないように思えた。そして今、変化を起こすのならば、ただこの仕事を辞めることだけが自分に残された唯一の選択肢のようにも思えた。

 しかし、警備員を辞める? それでこの世の中、どこに私の行き先があるというのだろうか。煩わしさから逃走し続けるこの警備員ぐずれを、快く受け入れてくれそうな社会など、どこをどう探してもあるようには思えなかった。たとえ警備業から幸運にも足を洗ったとしても、結局は同じことの繰り返しがこの先に待っているだけのような気がした。だから目に映る全ては、やはりこの私の心が変わらなければ単なる不可解な騒がしさにすぎないとも思われた。そして私の心は弾性をなくした永久ひずみにすぎなかった。