anehako’s diary

ノート代わりの下手な駄文を書き連ねています。書き替えも頻りで、

2022-12-11から1日間の記事一覧

ガードマン (11)

最後の巡回の時間が静かにやってきたようだ。正面受付の机が小さく見える、しかも動くことが嫌いで豚のように肥えてしまった我々隊長の背中に、いつものようにお愛想の出発の挙手をして、片手に鍵束携えると、私は慌ただしく警備室を飛び出した。施設警備は…

ガードマン (10)

そんな私にも今宵、あと一晩だけ当直をすれば、長かった私の警備業も終わりになる日がとうとうやってきた。私の意志で辞めるわけではなかったので、穏やかな気持ちだった。会社の撤退でこの現場がなくなり馘になったのだ。ベルトコンベアに押し出されように…

ガードマン (9)

そんな私にはとうてい解読不能だった一般社会の人々の無関心さだけが救いであった。私は案山子のような警備員であったから、その血の通わない醒めた心を外に知られてはいけなかった。人との接触はできるだけ避けた。そして他人と心を通わすことは案山子でな…