anehako’s diary

ノート代わりの下手な駄文を書き連ねています。書き替えも頻りで、

ガードマン (15)

 それでも宿直日のニイヨン勤務は私にも途方もなく長く感じられた。当日の朝、勤務に就くと、翌日の同じ朝に現場を退所するのである。丸一日、24時間働くのでニイヨン勤務と呼んでいた。伸びきった時の流れは、その中でえら呼吸の仕方を覚えれば、長く感じること自体が生きる証になってくる。捉えどころのない疲れが逆にそのまま私の生きる糧となった。

 施設の外は寝不足の目にはいつも朝日が眩しく、すっかり陽が開けた外に出ると、街行く人々は別世界の住民にしか見えなかった。彼らからゆらゆらと立ち昇る生活の気焔にいつも圧倒されそうになるのである。そして目に映るどの女性もはっとするほどの肉感と艶やかさをもって私の目を射た。ニイヨン勤務の干上がりの身体に、それでも肉欲はダイレクトに押し寄せてきた。帰り道、脇の下の乳房の、日向のような甘い微かな匂いを思い出し、硬くなった乳首のその舌に触れる感触が私に取り憑いて離れなかった。これは毎朝、外の回帰世界へ、場違いな空間に私が迷い込んだのではないかと怖れた。