anehako’s diary

ノート代わりの下手な駄文を書き連ねています。書き替えも頻りで、

ガードマン (14)

 結局この警備という商売に身を深く沈ませながら、水面にふと浮き上がったときに、やはり私という人間にはここの水があっていたのかと、上から与えられた、あらかじめ決められた仕事さえ、意思を交えずにきちんとこなしていれば、あとはよしなにどうぞと、どこからともなく囁く声に、私はすぐに頷いた。他に誰も、私に小言の言う奴などいなかった。それに周りの世界にすっかり倦んだ、形だけで皺のない平らかな心と、もて余しぎみのこの身を、ひっそりとどこかに隠すには、これ以上の適所はありそうになかった。

 厚みを失った時の進行だけがいつも私のそばに付き添っていた。ガラスのくびれをさらさらと流れ落ちる時計の、乾いた砂にも似た音が、他人のお喋りの中に、そしてある時は、そのあまりにも楽しそうな表情の上に寥々として聞こえてきた。いずれにせよ、私にとってはすべてがどうでもいいことに変わりはなかった。