anehako’s diary

ノート代わりの下手な駄文を書き連ねています。書き替えも頻りで、

ガードマン (5)

 瓜二つの双子のように、いかなる時も私の影身に添ったもう一人の内なる警備員に、私という人間を骨の髄まで知らしめられたと、今も頑なに信じている。それは優しい無関心の世界で、安らかな息を吐き続けることを覚えたのだった。

この世界とは、私にとってただぼんやりとうち眺めるだけの、ありふれたどの美術書にも載っている一枚のレンブラントの絵のようであり、私自身の意識が変わらなければ、そもそもその絵の価値はもとより、背景に沈んでいる意味の深さも形もなく、私の方からそちらに歩み寄ったり参加をしたりするべきものではないということを知ってしまったのだった。

 そしてそうした論理必然から、私の意識だけがこの世界を創り、そうでなければ一切は私にとってどうでもいいことに過ぎないということを、はっきりと理解してしまったのであった。警備員の世界に、私は肩にかかっていた重荷をすっかり下ろしたような気持ちになった。