酔言 52 私は私用で参加できないが、大晦日、元旦の炊き出しの準備に、阿佐ヶ谷にある朝鮮学校の校庭に朝から出かけた。餅つき、牛丼の具、肉じゃがの仕込みの手伝いをした。ボランティアの方々、またそこで知り合う在日の方と話をするのは楽しい。知らない…

病院日記 50 寒朝はボイラーとともに始まる。これが私の中に長らく棲みついていた冬の感覚でもあった。そう、ボイラーマンの朝はいつも早い。地下に降りて行く。寝静まった機械室はまるで熱帯魚の水槽のように夜の底に沈んでいる。扉を開けると、誰かが囁く…

酔言 51 昨日、職業訓練校の冷凍機の授業は久しぶりに楽しかった。というのは、生徒皆さんのそれぞれの顔がよく見えたからではく、生徒それぞれの訓練校に来た背景を、私からの強制や義務ではなく、授業中に自然に本人たちが語ってくれたからである。週に一…

病院日記 49 今、理由などなくとも好きでも嫌いでなくとも、たまたまこうしてたまゆらに向き合う現実の、この瞬間と対峙することでしか私の逃げ道はないのではないか。逃げ道？ しかしいったい何処へ？そして何から逃げるというのだろうか？ そこはあくまで…