anehako’s diary

ノート代わりの下手な駄文を書き連ねています。書き替えも頻りで、

松沢日記  43

松沢日記  43

電気、ガス、水道、通信のいわゆるライフラインは、設備管理にとっては最重要な仕事である。先日、年一回のその受水槽清掃に関連して、上層階の断水を起こしてしまった。ライフラインの給水を途絶えさすわけにいかないから、どの受水槽も片槽ずつを順番に清掃するのだが、当然、作業中の水槽の切替え作業が必要になる。

 途中、気付かぬうちに加圧給水ポンプの制御基盤(受水槽のFM給水バルブの副弁である、水槽上部の電磁弁への開信号故障)が壊れており、受水槽に水が入らなくなっていたのだ。水位制御は水槽内の電極棒で電気的に操作されており、そこからの信号が制御盤を経由して電磁弁へフィードバックされている。しかし、切り替えて水のある側の水槽の電磁弁が作動していなかった。通常は連通管で両槽は繋がっており、片側に不都合があっても問題が発覚しなかったのだ。

 病棟から連絡があって初めてその断水を我々が知った。幸いにも、なんとか仮処置ができて大騒ぎにはならなかったが、病院で断水を起こすのは致命症であった。渇水したのが清掃側の水槽という、作業員の思い込みもあって対応が遅れたこともあった。設備の機械的なリスク対策も大事であり、古い設備にはこんなことが頻発する。世の中、案外に想定外のことが起きたとき、慌てふためくフランチャイズの店員と同じで、個々の真価が問われるものだ。

 そして、そんな例外的なことに衝突した時は、既知の事象面の内側からは解放され得ない合理性や論理よりも、ぬえのような混沌とした精神の方が対応できる場合がままあるのではないか、と思われる。おそらく、危機的状況にはスピードが要求される。さらに、対応する者の機転や想像力で一瞬にして勝負が決まってしまう。だから未知なる事象に対しての論理の飛躍という武器はけして馬鹿にはできないだろう。まだ途中だが、今までなかった簡単な作業手順書を作ることにした。無いよりマシの程度ではあるが。