anehako’s diary

ノート代わりの下手な駄文を書き連ねています。書き替えも頻りで、

2022-12-06から1日間の記事一覧

アムステルダム 2 (16)

私は正直に、このギリシャ彫刻のような端正な顔をしたフランス人の若い医師に、私が所持金のほとんどないことを打ち明けた。すると彼は私を慰め、その心配は貴方には必要がない、フランス国家が貴方のような災害をうけた旅行者の治療費を全額保障すると語っ…

アムステルダム 2 (15)

診察室の彼は、私にレントゲン写真を見せながら、頭蓋骨の眉間のあたりを指差して、少し陥没していると語った。さらに整形の手術をするかどうかは、貴方の意思次第であると言った。私はびっくりして、それには及ばないと即答した。さらに、私が駅前で意識を…

アムステルダム 2 (14)

3、4日もすると、私はどうにかベッドから起き上がれるようになった。身体は痛かったが、とくに時折、包帯を巻いた頭部に鈍痛が走って目を閉じた。私の持っていた荷物はどこにもなく、ただ病室の棚の下の籠に、アンモニアの悪臭を放つ小水まみれのズボンとシ…