anehako’s diary

ノート代わりの下手な駄文を書き連ねています。書き替えも頻りで、

軌道工の唄 (11)

 時が熟しつつ、地の底にみつる遍満の力に押しつぶされて、ふたたび地上に生まれ出ずることの突拍子のなさを体現している鉱物達がいます。あるものは妖しく気を発し、その姿を不本意にも私達に見られることで、自らの体内に結晶化させた瑠璃色の時の封印を、解きほぐすかのように見えてしまいます。殻に閉じ込められた万古のエネルギー密度は、見られることで不本意にも放たれて、私達の周りに場の歪みを与え、影響を及ぼすのです。

もしも現代物理学が解き明かしたように時空の根源が一つであり、物質とエネルギーが等価であれば、時とエネルギーも同じものになるのかもしれません。虹色に妖しく光る孔雀石の神秘、ビスマス鉱石のメタリックな統一性、そんな石達はその事を語っているように思われます。ですから実は、石達の沈黙はひとえに雄弁なものなのです。